
晴れた冬の朝
光は音もなく降りてくる
彼女が息をきらして立っていた
小説のページを抱えたままの ひとつの季節
ドアを開けると 冷たい風が舞い上がり
肩に積もった雪が 静かにほどけて落ちる
その瞬間、時がやわらかく裂けて
言葉にできないぬくもりが ふたりの間に滲んだ
窓の向こうは 白の繊細な織物
君が駆けてきた道の上に
靴跡が光を反射して 新しい記憶のように残っている
頬に触れる冷たさが たまらなく愛しい
それは確かに、再びの恋
いったん凍なった心の奥を
彼女の息が溶かしていく朝
コーヒーの香りが 淡く漂い
まだ閉じられないページがテーブルに伏せられたまま
ふたりの指先が触れ合うたびに
物語が続きを語り始める
白い息のはざまに ― 冬の光が語る再生の詩

冬の朝、世界は音を失い、すべての瞬間が静けさに包まれる。
その無音のなかで、人の気配や息づかいがひときわ鮮やかに浮かび上がる。
「白い息のはざまに」は、そんな朝に訪れる“再びの恋”と、“物語のはじまり”を描いた詩。
凍てついた季節に差し込む一筋の光

晴れた冬の朝
光は音もなく降りてくる
彼女が息をきらして立っていた
小説のページを抱えたままの ひとつの季節
冬の光は、夏のそれとは違う静寂をもつ。
眩しいというより、触れたくなるような柔らかな明るさ。
その中に立つ「彼女」は、まるで物語の登場人物のようでありながら、現実にいる誰かでもある。
抱えられたページは、未完の感情、語られなかった言葉の象徴だろう。
白の中に溶ける時間

ドアを開けると 冷たい風が舞い上がり
肩に積もった雪が 静かにほどけて落ちる
この一節に、冬の質感が凝縮されている。
雪が解けて落ちる瞬間、季節と心の境目が曖昧になる。
「時がやわらかく裂ける」という詩の表現は、過去と現在の重なりを示しているようだ。
それは、凍りついた記憶が再び息を吹き返す瞬間でもある。
冷たさの中に宿るぬくもり

頬に触れる冷たさが たまらなく愛しい
それは確かに、再びの恋
冬という季節は一見、孤独を強調するように見える。
しかし、愛を再発見する季節でもある。
頬に触れる冷たさ、白い息、凍った空気
それら全部が「生きている証」になる。
恋は燃えるだけではなく、凍てついた心を溶かす力を持つ。
記憶のページがめくれる瞬間

コーヒーの香りが 淡く漂い
まだ閉じられないページがテーブルに伏せられたまま
この場面では、時間の流れがゆるやかに再構築されていく。
ページが「閉じられない」ことは、物語が終わっていないということ。
指先に触れたぬくもりが、次章を開く鍵となる。
人間の記憶も恋も、コーヒーの香りのように、ほんの短い瞬間に深く沁みわたる。
おわりに ― 恋と記憶をつなぐ冬の詩

「白い息のはざまに」は、冬の静けさの中に宿る生命の鼓動を描いた作品。
凍った心に、誰かの息が触れ、再びの恋がやわらかく灯る。
それは決して劇的ではなく、朝の光や風のように穏やかな奇跡だ。
冬の朝は、確かに寒い。
けれど、息を吐くたびに白くひろがるその温度の中に、
“生きること”のあたたかさが確かに息づいている。



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